

何年か前の寒い冬の夜の事、
MARTESのメンバーは、
当時VOCALのTOSHIYAがやっていた、
地下のライヴバー「EXPERIENCE」で待ち合わせをしていました。
静岡の酔客の多い冬の夜の街を歩いて、
暖かい店内のスツールにこしかけ、
ビールやバーボンを飲んでいました。
少し遅れて、
ベーシストのヤシチが階段を降りて来ました。
いつも笑顔のヤシチがいつもの百倍くらいの笑顔で、
嬉しそうに、にこにこしています。
こいつ、何かいいことあったんだ。
誰にも分かるくらいの、分かりやすい奴です。
「いやー、俺いまそこでナンパされちゃったよ!」
体中から、喜びオーラがさんさんと滲みでています。
こちらの先着メンバーは、ピクッと反応しています。
驚き、悔しさ、嫉妬、、、
何故ヤシチが?
何故おれではない?
でも聞きたい。
MARTESのメンバーは何故かみな、
自分が一番もてると思っています。
もちろん、根拠も実績もありません。
つまり、実際はもててません!
嫉妬よりも好奇心の勝ったあるメンバーが聞きました。
(私です)
「どんな娘に声掛けられたんだよ?」
「いや〜、むちゃくちゃ色っぽい女の人でさ〜、」
この時、一同聞き耳頭巾着用!
「それで?」
「外人の綺麗な子が、オニイサンアソバナイ?だって!」
一同一瞬ぽかーん状態、、、。
さらにヤシチが続ける。
「ごめん、約束があるんだって断っちゃったよ。いや〜もったいないな〜。みんなと待ち合わせしてなかったら行っちゃったよ!」
まだ鼻の下を延ばして、幸せそうに満面の笑みのヤシチ。
「それ、ナンパじゃないから!」